7/26/2007

社員の生産性を高める?

ちょっと前になるが、下は San Jose Mercury News に出ていた記事。どーんと真ん中にグーグルの広告かと思いきや、グーグルの記事だった。
Where food is free, IQs are high

グーグルの無料カフェテリアの記事は今までに何度も見たことがあるが、IQ が高いと言われると気になる。

記事の内容は、カフェテリアが無料だとたくさん食べるから頭がよくなるということではなく、社員の生産性を高めるためにグーグルはこれだけ会社の施設を充実させているということをアピールするものだった。その一例が無料のカフェテリアなのだ。どれだけつぎ込んでいるかは公開しないらしい。

下は中の見開き一面の記事「Work hard, eat hard」。グーグル社員の特典が書いてあった。
  Free groumet food
  Free haircuts
  Free child care
  Subsidized massages
  Pets at work
  Free personal training
  Visits from presidential candidates and other luminaries
マッサージはただではないが、安く行けるならこれが一番魅力的。

驚いたのは、数人でワークスペースを共有しているということ。日本のようだ。

それと、数箇所でマイクロソフトが比較対象にあがっているが、できればアップルを使ってほしかった。

食べ放題のカフェテリアと聞いて以前羨ましかったが、今の自分を考えるとただでなくて良かったと思う。フリーランチでなくても、アメリカに住んでるだけでこれだけ太ってしまって悩んでいるというのに、フリーランチの生活をしている自分を想像するとかなりぞっとする。フリーエステがセットじゃないとだめだ。

日本企業は社員の生産性を高めるために福利厚生を充実させる。バブル期には億ションを買って保養所にしたりして、自社の福利厚生をアピールした昔と違い、近年はワークライフバランスを大切にするため健康・医療、育児・介護等のライフサポートの充実を目指しているらしい。

つまり、日本でバブル期に企業がお金をつぎ込んでいた福利厚生と似たようなことを、今のグーグルがやっているのだと感じる。ペットの持ち込み等カルチャーの違いはあるが、有名人訪問などに関しては、日本もバブル期はイベントに芸能人を呼んでいた気がする。

おもしろいことに、日本企業が負担した従業員一人当たりの福利厚生費は、バブル絶頂期1990年で月平均7万4482円、2005年度で月平均10万3722円で過去最高であり、増え続けているらしい。じゃあ、社員の生産性はあがっているのか?

過度の福利厚生は、客寄せパンダと会社の宣伝にしかならないのでは?

その分のお金を社員個人の給料に回したら、彼らはグーグルに入らないのだろうか? 入っても生産性が低いのだろうか?

本当に生産性を高めるものは何なのかを考えてしまう記事だった。

7/25/2007

10年後の技術はどこから?

10年後の技術は、今どこで開発されているのか?
エレクトロニクス業界のR&D への投資ランキングを見てみた。

上位を見ると、31.0% Cadence、30.5% Broadcom、28.3% Agere Systemsが上位三社だ。上位には、無線、アナログ、FPGA、ソフト系の会社が目につく。売上高 $10億以上の企業に絞ると、Nortel Networks 17.0%、Intel 16.8%、Infineon Technologies 15.8%、Ericson 15.7%、Sun Microsystems 15.7%、Texas Instruments 15.4%が15%を超える。

USの企業ばかりが並ぶ中、日本企業はどこに行ったのか? 
見落としていなければ、日本企業では 8.8% オムロンがトップで、8.7% ローム、8.3% パイオニア が続く。日本も売上高 $10億以上に絞ると、8.0% デンソー、 7.4% キャノン、7.1% ソニー、6.9% NEC、6.8% 富士フィルム、6.3% 松下 となっている。世界のR&Dへの投資率ランキングでは、オムロンで66位、デンソーで74位、松下にいたっては104位である。オムロン、デンソーと聞くと、医療機器、車載製品の分野の成長のおかげかなと思ってしまう。

売上高に対する R&D 投資率で見ると、日本企業は世界ランクはかなり低い。なぜか?

理由の一つとして、日本の企業が巨大なことももちろんある。M&Aを繰り返すことで特定の分野に絞りこんできたUSの企業と違って、さまざまな分野を抱え込んでいる日本企業は売上高が大きく、投資率が低くてもそれなりの額にはなる。
だが、一番の理由は、投資を回収できるストーリーが今のところないので投資率を上げられないのだろう。
他にも、USでは国で具体的にサポートしているように、意識的に取り組んでいる。 American Innovation Proclamation にあるように、R&D が税額控除の対象となるよう、国家予算を二倍にしている。ただし、その予算は、R&D の税額控除だけでなく、理系の学生を増やすことに使っている。実際、2005年では、USの大学では、理系のマスターの43%、理系のドクターの61%が外国籍の学生だったらしい。ほとんどがインド人、中国人だろう。地理的には日本の方が近いが、日本では考えられない数字だ。

ここで何よりも気になるのは、US企業はすでに自分達の方向を決めたから投資に踏み込んでいるのに対し、日本企業はまだどうすべきか悩んでいるのではないかということだ。当たり前のことだが、今投資せずに10年後に革新的な技術をもつことはありえない。また、悩んでいる間に人々のモチベーションが下がるし、いったん下がったモチベーションを再び回復させるのは簡単ではない。一旦、細く長くゆっくり進んでもいいんだと思ってしまうと、再び以前のように走ることは難しくなるのだ。

今、日本企業で働いている人たちは、どう感じているのだろうか?